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「頭から離れない」投稿映像が現場にいなかった人にもトラウマ ソウル雑踏事故1週間 政府は対策急ぐ:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

5日夜、ソウル中心部で、雑踏事故の犠牲者を追悼するキャンドル集会に詰めかけた市民

5日夜、ソウル中心部で、雑踏事故の犠牲者を追悼するキャンドル集会に詰めかけた市民

 韓国ソウルの繁華街で起きた雑踏事故から5日で1週間となったが、韓国社会はなおも悲しみに沈んでいる。専門家は、生存者や遺族にとどまらず現場にいなかった市民もトラウマ(心的外傷)を負う可能性があると指摘する。政府は、交流サイト(SNS)などに大量投稿された事故当時の映像や画像の削除を依頼するなど対策を急いでいる。(ソウル・相坂穣、写真も)

◆献花に訪れる人絶えず

5日、ソウル・梨泰院で、雑踏事故発生から1週間を迎えた現場の路地

5日、ソウル・梨泰院で、雑踏事故発生から1週間を迎えた現場の路地

 事故が起きた坂道に近い地下鉄梨泰院イテウォン駅の出口付近は、献花に訪れる人が絶えない。友人4人が亡くなった30代のイラン人女性は「夜も眠れず、食欲もない。悲しみを誰かと分かち合わないと倒れてしまいそうで、ここに来た」と涙を流しながら語った。

 韓国では2014年に約300人が死亡した客船セウォル号沈没以来の惨事と受け止められ、政府は5日までを「国家哀悼期間」に指定。多くの国民が会食などを自粛し、繁華街は閑散としている。アイドルの公演や自治体のイベントなどが軒並み中止。韓国サッカー協会も、今月開幕のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会の街頭応援イベントを「国民感情にあわない」として中止を決めた。

◆衝撃的な光景がよみがえる

 事故当日は、新型コロナウイルスの防疫規制が緩和された解放感から13万人が周辺を訪れたとされ、目撃者も多かった。ソウル在住の日本人主婦(42)は「自分が巻き込まれてもおかしくなかった。怖くてすぐに帰宅したが、救護を手伝うべきだった」と後悔を口にした。40代の会社員男性は「夜になると、衝撃的な現場の光景がよみがえる。救急車のサイレンを聞くだけで、寒けを感じる」と語った。

 ハロウィーンの仮装をした人を撮影するために集まった若者らも多かった。事故発生直後から、密集した人波が倒れる状況や、心臓マッサージを受ける人を写した映像などがSNS上に次々に投稿され、国内外に拡散した。ソウルの米国人女性(32)は「モザイク加工もされていない遺体の写真などを見てしまい、頭から離れないという友人も多い」と話した。

◆「自責の念、抱え込まないで」

5日夜、ソウル中心部で、雑踏事故の犠牲者を追悼するろうそく集会に詰めかけた市民

5日夜、ソウル中心部で、雑踏事故の犠牲者を追悼するろうそく集会に詰めかけた市民

 大韓神経精神医学会は緊急声明を出し、SNSの投稿者に対し「残酷な映像や写真が共有され、被害者の名誉を傷つける2次、3次災害につながりかねない」と警告。閲覧者に向けても「現場映像やニュースの過度な視聴は、健康に悪影響を及ぼす恐れがある」と注意を呼びかけた。政府は、刺激的な動画の削除を動画投稿サイトのユーチューブなどに要請している。

 精神科医の沈民映シムミニョン・韓国国家トラウマセンター長は「刺激的な映像を見続ければ、(心の)傷を重ねることになる。遮断しなければならない」と話し、症状の緩和に「腹式呼吸や十分な睡眠」を勧める。ソウル大心理学科の郭錦珠クァククムジュ教授は「悲しい感情を抑え込まずに外に出すことが大切だ」と指摘。「自責の念を感じている人は抱え込まず、家族など誰かに助けを求めてほしい。現場に一緒にいた人同士のグループで話し合い、慰めることも大事だ」と説明した。

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